SUB STORY #01「いつかはきっと」

「全クルー配置につけ!」
颯爽と佇み、長い黒髪をはためかせ、毅然とした一声を放つ。
デッキクルー総合指揮官サキ主任の号令の元、各クルー達が持ち場へと散っていく。

整備道具が詰まったカバンを肩に掲げ、奏(かなで)は担当部署に向かっていた。
嬉しさで気持ちが高ぶり、顔がほころびそうになるが、グッと抑え緊張感を持とうと努めた。

軍所属の高専時代に、現場実習でサキ主任を見て以来、彼女にずっと憧れていた。
何百人のスタッフを束ね、つねに冷静な判断と的確な指示で、巨大な空母を支えているダブルタクト部隊の若きリーダー。
凛とした美しい姿は、奏から見れば、戦場に舞う女神ヴァルキリーと重なった。
(彼女の元で働きたい!)熱い想いを募らせ、勉学・実習に励み、この春ついに入隊までこぎつけた。

「新入り!なにニヤついてる!さっさとテスト開始するぞ!」
班長の先輩クルーが背中を叩き、エマージェンシーゲートを指差した。

「も、申し訳ございません!以後気をつけます、、、私、ニヤついていました?」
恐る恐る聞いてみると、別の先輩クルーが、
「お前、気づかれてないと思っているのか?毎朝ニヤニヤしている。」
「俺も新人の頃は、サキ主任の掛け声を聞くと、気合入ると同時に、やっぱ嬉しかった。だが、これは実戦でもある。緊張感は持っておけ。」

(ば、、、ばれてた!!)
慌ててゲートに駆け出した。

「バリケード展張テスト開始します!!」
恥ずかしい思いを隠すかのように声を張り上げ、テスト準備にとりかかる。

空母は一人では動かせない。
総勢1000名ほどのデッキクルーやスタッフ達が、様々な担当配置について仕事をこなす。
各自が任務を全うすることで、成り立っている。
空母は戦闘に使う道具にすぎない。戦地に赴き、パイロット達を確実に戦場へ届ける。
ただそれが本質。

しかし、その中でもアングルドデッキというバトルドライバーの着艦を担う部署に奏は配属されている。
パイロットの命を守る仕事だ。
帰還したパイロット達を安全に回収する任務に、奏は内なる誇りを感じていた。

(ここは私たちみんなの家。私はここを守る!)

奏(かなで)

奏(かなで)kanade

前線基地ダブルタクト部隊(デッキクルー)の若きリーダー。総勢300名のクルーを指揮している。常に冷静を心がけているが、、、